「どうしたの美羽」
「ペンケース忘れてきちゃったかも………優衣ごめん!先行ってて!」
踵を返し、美羽は再び校舎内へと駆け込んだ。
優衣はしばらく校舎へ消えていった背を見つめていたが、やがて美羽の言うとおりに先に行くことにした。
「ドジなんだからー」
優衣は美羽に背を向ける形で、校門をくぐりぬけた。
待つ、という言葉が大嫌いな優衣を考慮した美羽は、急いで階段を2段飛ばしで飛び、息荒く教室の自席へと舞い戻った。
机の中に手を突っ込み、無機質な光沢を放っているペンケースをつかみ取る。
用は済んだので、急いで優衣の後を追おうとしたのだが
「………あっ窓あいてる」


