「ふー………夏目は乱暴なんだから」
掴まれた肩をさすりながら美羽は席に着いた。
「ねえ。夏目には例の男の子とは言ってんのに、それが好きとは言わないの?」
「いっ言わないよ!殺されそうだもん!」
確かに言わないほうが得策であろう。
もしバレたら血眼になって探しだしそいつを退学に追い込むぐらいはしかねない。
殺されるのはその男だが。
あの八重歯で噛みつくのかな、などと馬鹿なことを考えているうちに
「まったく………」
さっきと優衣と同じように瞳を熱で侵し、空席を見つめている美羽に、優衣は気付かなかった。


