「君とずっと話してみたいと思ってた」
二人っきりの図書室でこんなこと言われたら何だか、告白としか受け取れない気がしてきた。
美羽は隣の瀬田の体温を空気で感じながら心臓を躍らせていた。
「だけどまだ分からないんだ」
ふぅっと目を閉じ、悲嘆にくれた声で呟く。
「一緒にいて楽しい………と思えたのは初めてで。何て言えばいいのか分からない」
「楽しい、って言葉だけでいいんだよ」
「………そうか。これが………」
瀬田は何かを言おうとしたが、昼休み終了の5分前を告げるチャイムでかき消されしまった。
それを合図にしたように彼は椅子から音もなく立ち上がり、図書室から出て行った。
残された美羽は頬杖をつきながら
「………チャイムが嫌いになりそう」
と悪態をついた。