美羽の言葉に、瀬田は目をそむけ、そして静かに頭を下げた。


「だから僕はサインなんて求められるほど大した人間じゃない」


「だけど、やっぱすごいよ瀬田君」


瀬田は前を見据えていた目をまた美羽にやった。


「自分の思いをちゃんと口にして言えるじゃん」


「………不思議だ」


美羽の隣りに腰を下ろした。


「なにが?」


「僕は詩でしか思いを表現できないのかと思っていた。だけど、君と話しているとスラスラと言葉が出てくる」


「………そっそう」


何気に告白されたようでどうも落ち着かない。