図書室に静寂が訪れた。


美羽は彼になんて言えばいいのか分からなかった。


なにも言わないほうがいいのだろう、と思い。


自分は何に悩んでたんだろうか。


別世界にいる彼と接点を持ちたくてストーカーまでした。


そんなことしなくても、答えは簡単だったのに。


「そっか……瀬田君も、高校生だったよね」


瀬田の天才、という項目にしか目がいってなかった。


彼の能力ばかりに目を奪われ、本当の彼を見つめてあげられなかった。


ただちょっと特殊なだけの高校生。


それが瀬田だったのだ。