「えっああ。これ?ちょっと文章の勉強」 「文章?」 書くの?と瀬田は目で問いかけてきた。 「うん。下手糞だけどね」 「そんなことはない。上手かった」 上手かったが指す主語はあの時のルーズリーフだということに気づいて顔が熱くなる。 あの時の幻のような一言が本当だったという嬉しさと、褒められたという照れ恥ずかしさで。 「おっお世辞はいいよ………」 「世辞じゃない」 彼は真剣な瞳で美羽に賛美を送った。 発狂しそうなほどに胸が高鳴った。