開けた瞬間、ホコリと本のにおいが鼻孔を刺激した。 あまり使われていないのがよく分かるホコリの舞いで歓迎され、そっと足を踏み入れる。 ぎしっと美羽の体重に床が悲鳴を上げた。 抜けるんじゃないのかと思うほどに深く沈んだのでひやりとした。 そのまま数歩歩き、姿がないかを探す。 本棚と本棚の間をそろそろ歩き、瀬田を探す。 彼は人1人座れるほどの大きな窓枠に腰かけ、壁に背を預けていた。 目をつぶり、自分の世界に入っているようだ。 話しかけるかかけまいか美羽は悩んだ。