瀬田は窓から数ミリほどサクラに目をやった。
きゃぁ、と半分直視されたサクラは逃げるように仲間の背に隠れる。
仲間は苦笑いをしながらフォローに入った。
「ごめんね~この子、あんたのファンなもんだからさ。サインの1つや2つあげてやってくんない?」
なんだそのエベレストから見下ろすほどの上から目線は。
美羽の不機嫌ゲージは針を振り切った。
瀬田はそんなことか、という代わりにマジックペンをとりだした。
常備しているのだろうか。
ほらサクラ、と仲間は子ウサギのように背に隠れたサクラを前に押しやり白い色紙を握らせる。


