Loving Expression ~愛を詩にのせて送ろう~



美羽は彼の声を聞いたことがない。


休み時間にファンらしき女子に話しかけられても目すら向けない。


腕と脚を組んだ体制でじーと窓を方角に首を向けたままである。


しばらくは女子たちも頑張っていたようだが、


はっきりと無視されているのがつらくなってきてすごすご肩を落とし帰っている。


そんな様子を、美羽は彼女たちと同じように悲しんでいたが、毎度毎度悲しんでいては自分のために泣けなくなりそうなので最初のうちに同情はやめた。


昼休みになるとふらりとどこかへ移動している。


手には何も持っていないので弁当を食すというわけではないらしい。


その行先はなぞに包まれている。


一度優衣に連れられてあとをつけてみたが、瀬田はそれに気づいたらしくふらふらと角という角を曲がり、完全にまかれてしまった。


完全完敗である。