さあいまだ!と力んでも彼は木のように動かず、誰も話しかけてはこないのだが。


というか人を寄せ付けない壁があるようだ。


その壁を無謀にもよじ登ろうとしている美羽は無謀だった。


だが、登りきってみせる!


机の下で握りしめた手を更にグーにする。


今、この時ほど勢いがついたことはいまだにない。


流れのままいってやろう!と美羽が決心し、立ち上がった瞬間


「は~い。授業を始めますよー」


呑気さが売りな社会科の先生がやってきた。