「え?」


何が?と聞く前に瀬田は教室から姿を消した。


追いかけて行ってもよかったのだが、上手かったという言葉が指す意味が脳内にしこんで来たのであえて追わなかった。


ぐしゃぐしゃのルーズリーフを眺め、ミミズのような文字の内容を頭に入れる。


あの天才が自分の詩を褒めてくれたのだ。


それを現実だと理解すれば、これ以上ないほどに胸が高鳴った。


放課後の教室に、美羽の嬉しそうな微笑みが広がった。