「そっか………」


一緒に帰ろうなどと思ったこと自体が恥ずかしい。


友達でも何でもないのに。


期待をしていた自分を呪い、美羽も立ち上がった時には瀬田の姿は教室の出入り口の前にあった。


行くのか、と思いきや突然ふらりと背を廊下側に向けた。


何事か、と美羽が瀬田を見つめていると瀬田も美羽に視線を集める。


そのまま数秒間見つめあって


「………上手かった」


瀬田がポツリと呟いた。