妙な気持ちを抱えたまま放課後。
「ごめんって美羽~」
「………別に怒ってないし」
「怒ってるじゃん。ごめんってば」
「別にいいって」
立場が逆転した先が見えぬ応答を続けながら帰りの準備をしていた。
まだ美羽はぶっすりと頬を膨らませ、休み時間のやさぐれが残ったままだ。
「おかしくなかったよ!サイコーだったって!」
これはもちろんあのページの詩を褒めたものである。
「世辞は好きじゃないの」
修羅場を幾度も潜り抜けた主婦のようなオーラを醸し出す美羽に、言葉を詰まらせる。
「あっわたし、今日塾だったわ!ごめんねまた明日!」
適当な理由をたたきつけ、優衣はそそくさーと教室から飛び出していった。


