「これって………」
「僕が作った」
彼は至近距離で微笑んだ。男なのに綺麗だと思った。
「早く作ったから、おかしな感じだけど」
「おかしくなんかないよ」
美羽は瀬田の瞳を見つめたまま囁いた。
「いい曲だよ」
「ありがとう」
彼はすっと目をそらした。夕陽のせいか頬がオレンジ色に染まっている。
「これ歌ってるのって、瀬田君だよね?」
「他人に任せておける歌じゃなかったから。前も言ったように詩には心が入る………歌詞にあった心境の持ち主が、僕しかいなかったから」
さりげなく好きだと言われたようで落ち着かなかった。


