「これ」


放課後呼び止められ、突きつけられたのは一枚のCDだった。


ケースに仕舞われたCDのラベルには『NO.38』とシンプルなゴシック体が書かれている。


「?何かのCD?」


だとしたら噂の新曲だろうか。


美羽が首をひねると、瀬田はケースのふたを開けた。きゅっきゅという独特の音がしてCDは外された。


彼はヘッドフォンの右耳のほうの耳当てをパカリと開け、その中にCDを装入した。


そういう仕組みになっていたのか、と目を見張っていると


「かけてみて」


と左耳を自分の耳朶にあてた瀬田が右のほうをさしだしていた。