「………であるからして、ここの答えは助動詞を使用し」


意味不明の国語の授業に耳を傾けつつ、美羽は背後に意識を送り続けた。


後ろではきっとまどの方角を眺めている瀬田がいることだろう。


振り返ってみたい衝動を抑えつけ、曲がりそうになり首を真っすぐに固定する。


ギプスでもあったらいいのに。美羽は白いノートをにらみつけながら馬鹿なことを考える。


何か早くかけ!とすごんでくるほど真っ白なノートを見てふと思いつく。


………書いてみようかな。


黒板ではなく、自分の詩を。


文芸部部長でありながら何も書かないというのはおかしいだろう。


「………やってみますか」


美羽は自分に言い聞かせるようにつぶやき、ピンクのシャーペンを握った。