いもしない敵に怯え、僕は外に出なかった。


固く閉ざされた貝のように決して扉を開けなかった。


そう思っていたのは僕だけらしく


目の前で美しく燦然と光を浴びる彼女から見たら、僕はとっくの前に外に出ようとしていたんだ。


きっと彼女に会った瞬間から玄関でスニーカーの踵を踏みつけていた。


半分ドアを開いたまま、後一歩勇気が出なくて縮こまっていた。


それがさっきの彼女に声でことばでしぐさで笑顔で


完全に開かれたような気がした。