「………瀬田君は出てこれてるよ」


沈黙を破った美羽は顔をあげた。優しげな目だった。


「ほら今だって朝日じゃないけど夕日、浴びてるでしょ?」


彼女は胸の前で手を組み、首をかしげた。


「瀬田君は前はそうだったかもしれない。でも今は」


彼女は戸惑いながら大きく腕を広げた。


「こんなにいい仲間を持ってる」


思わず彼は教室を見回した。自分に笑いかけながら話しかけてくるクラスメイトがいたような気がした。


「新しい世界は、こんなにも奇麗だよ」