彼女は黙ってしまった。


それもそうだろう、と瀬田は袖を引っ張った。みじめな傷口を隠した。


これでよかった。


ここまで自分をさらけ出したのは久々というか初だったのではないか。


言えば嫌われる。


それを承知で瀬田はすべて彼女に明かしたのだ。


見た目だけ知ってもらいたくなかった。


汚い所まで弱いところまで、しっかりと自分を見てほしかった。


できれば、愛してもらいたかった。


高望みはやめよう。届かなかったら苦しいだけだ。