「なんで………?なんで返事を聞かないで………!?」
「僕の覚悟が足りないから」
瀬田は幾分か哀しそうに答えた。
「君に嫌いだといわれるのを覚悟して、辛い思いを蓄えるのを決意し僕は伝えた。僕の心内にあった思いの軽量は軽くなった。またぼくは心が重くなることを直前で恐れた」
彼は詩表現をよく使い、最初は戸惑ったが今はずいぶんとなれた。
「最後まで聞かないとわからないじゃんっ!」
美羽はここにきて初めて彼の弱さを垣間見た。
彼は人を信用することができないのだ。
ずっと仲良くしてきた友人でも、彼はきっと心の底からその人物を気を許すことはしないだろう。どうせうわべだけ僕と仲良くしているんだろ、と自分を批判的に評価する。
美羽はそんな上辺だけ、と思われるような人間だと思われたくなかった。


