「………大したことなくないじゃん」


優衣は眼を大きく見張った。飲んでいたフルーツ牛乳を口の端から垂らし、身を勢いよく乗り出してくる。


「えっ!?なんで!?すごいじゃんマジで!えっ?ウソ!?」


興奮の渦に巻き込まれた女子生徒が「なになに?」と瞳をキラキラさせながら寄ってきた。


美羽はぎょっとしながら彼女たちに「何でもないよ。優衣のいつもの発作だよ」と軽く流した。


納得顔をしていなかったが、彼女たちは引っ込んでいったので、美羽はぎっと優衣を睨みつけて、無理やり口をふさいだ。


「ちょっと騒がないでよ!」



「ふぉめんふぉめん」


空気が入っていない声で優衣は顔の前で手刀を切った。