情けなかった。


自分がこんなにもちっぽけで頼りがいのない男だとは思わなかった。


一人で歩くこともままならぬ赤子になった気分のまま、近くの公園に担ぎ込まれベンチに寝かせられた。あの巨体の男の蹴りがきいたようだ。


上から美羽が心配そうに見下ろしてくる。それがみじめさを強調するようで悲しくなった。


瀬田奏は無表情ですぐそばに立っている。


この細身で夏目以上のパンチを繰り出したというのがまだ信じられない。


「ハンカチ濡らしてくる」


美羽はそう言い、トイレのほうへ走って行った。


瀬田はじっと夏目を正視していた。