「ああ?なんだ!?」
お楽しみタイムを邪魔されたボスは不機嫌そうに振り返った。
何が起こったのかは分からなかった。
瞬きをする間に、ボスの巨体がぶわっと宙を飛んだのだ。
砂の地面を摩擦音をだしながらボスは簡単に伸びていった。
目をつぶっていた美羽が目をあけると、ぶらぶらと右手首を運動させている瀬田がいた。
「瀬田君………?」
美羽は愕然とした思いでポーカーフェイスの瀬田を見つめた。
まさか彼が人を吹っ飛ばすほどの怪力であるとは思ってもいなかったからだ。
ペンより重いものを掴んだこともない、とずっと思っていた。
瀬田は擦り切れた拳に息を吹きかけ、かばうように美羽と夏目に背を向けた。


