ぞわりと鳥肌が立った。
夏目は
「てめぇ………!ふざけたことぬかすなよ………!」
と威嚇するように八重歯をとがらせていた。
「ああ?負け犬は黙ってろよ!」
ボスは満面の笑みで夏目の腹部に強打を入れた。
苦しそうに腹を押さえ、完全に倒れこむ夏目。喧嘩では全部勝っていた夏目のこんな姿を見るのは初めてで、苦しかった。
「………夏目には手を出さないのよね?」
「もちろんだ。俺は約束は守るタイプなんでな」
本当とは断言できなかったが、その言葉に今はすがるしかない。
「………ほんと?」
「ああ、ほんとだ」
このやり取りで契約が結ばれたような顔をボスはした。


