そのあとは無言で瀬田の後をカルガモの親子のようについて行った。


ムードメーカの優衣が黙ってしまったのだから、誰もしゃべる者はいない。


美羽は息苦しかった。


のどにまで出かかった言葉が優衣の存在により、だすことを躊躇われた。


魚の骨がのどに刺さったような顔をする美羽に、優衣は囁いた。


「ねえ。まさか瀬田君って美羽のこと………」


「絶対違うよ」


「………そうだよねぇ」


優衣は失礼な納得の仕方をし、美羽から遠ざかった。


この微妙な空気は教室に着くまで続くのだろうか。


始めて瀬田と同じクラスで残念に思った。