街中でいちゃもんをつけた男がまた面倒な高校だった。


さっきから大人数で一斉にかかってきて鉄パイプや鉄拳を連発してくる。


何とかよけているのだが、やはり何発かあたってしまう。


タイマンを得意とする夏目にとって厳しい状況だった。


やがて頬から血液を流し始めた夏目への猛ラッシュが止められ、ボスらしき肉つきのいい男が進み出てきた。無言でそれを夏目はにらみ返した。息が上がっていて苦しかった。


「『ファング』が聞いてあきれるぜ」


その口ぶりからすると、彼は夏目の過去を知っているらしい。


ひきつった笑みを浮かべ、夏目は言い返した。


「おいおい。あきれるのは俺のほうだぜ。たった一人の男に数人でかかっていく臆病もんどもが」


短気そうな子分が何かがなっていたが、よく聞こえなかった。