「夏目マジでやべぇって!」


二日連続、同じ声音で同じ人物の名前を聞くというのは珍しいのでないか。


瀬田も彼らの会話に気を取られていた。


無表情に少量の不安が浮かんでいる。


「つーかなんで喧嘩なんて………!」


「たちのわりぃ学校につかまってんだよ!早く先生をあの公園に連れて行こうぜ!」


おう!と心やさしい彼らは再び駆けて行った。


「喜多川さん」


美羽は身震いしていた。彼女はきっと夏目、危ないの単語らに恐怖しているのだろう。瀬田はそれを感じ取り、ノートーンで名を呼んだ。


「………夏目!」


美羽は告白ムードに染まった教室から飛び出し、廊下を走って行った。


瀬田は無言でその背を見つめた。