「あっあーと………」
「早いうちに」
それだけ言うと、用は済んだと言わんばかりに瀬田は踵を返した。
「あっ待って!」
美羽は思わず声を張り上げた。彼は何、と言いながらくるりと美羽に向き直った。
純粋で大きな瞳に吸い込まれそうになりながらも、彼女は尋ねた。
「きっ昨日のあれって………どこまで本気なの?」
そう言われると、瀬田は瞼を下した。ぱちぱちぱちと瞬きを繰り返し
「………あれって?」
と聞き返してた。
美羽は胸の前で手を組みながらきょどった。あまり口に出したくなかった。
「うっう~む。あれはあれで………」
「………ああ、あれ」
彼女の様子から察知したらしい彼はふぅとため息をつき
「本気」
となぜか悲しそうに答えた。


