「なっなに?」 美羽も驚きつつ応じた。 彼はそっと瞼を下した。これが彼の癖なのかな、と美羽が思っていると 「好きだ」 唐突に言われた。 「………へっ?」 当然彼女は眼をまん丸にした。 瀬田はそれだけ言って、踵を返しのたのたと来た道を戻った。あっちが彼の家だからだ。 大したことはない。 自分を好きになってくれる可能性など低いのだから、 あっさり振ってもらってあきらめればいい話だ。