「あっあの瀬田君………」


「………」


瀬田は美羽に興味を向けた。


「私が何を言っても顔向けてくれなかったのに………」


ぶつぶつと嫉妬を呟きながらも、美羽をみる。


「きっききき………」


魔女のようにあやしげに「き」を連発する美羽に、優衣は眉をしかめた。


「どしたの？調子やっぱ悪いんじゃ」


「あっなんでもないよほんと！ごめんごめん………」


適当にごまかす美羽。


瀬田は何も言わず、再び前を見据えた。


なっなにいってんの私！？


自分で自分を叱咤する美羽の腕を、突然誰かが強く引っ張った。