それでも消えなかった。


「好き、という感情を与えてくれたのは彼女だ。この思いが消えうせるまで僕は彼女が好きだ」


夏目が息をのんだ。


先ほどのパンチでヘッドフォンが耳からずれ飛んでしまった。


それを取りにいきたのだが、彼の手が邪魔をする。


「なに適当なこと言ってやがる!美羽は俺のだ!あいつはいい女だ!いい女はいい男と幸せにならねぇといけねぇんだよ!てめぇなんかに………!」


瀬田は首をひねった。


何故この男はそんなにもあせった顔をするのだろうか。


別に瀬田が好きだからといって彼女になんの害も与えないはずなのだが。


この思いを伝える気はさらさらない。


彼女が望むまでは。