ここで拳が飛んできた。なかなか鋭いパンチだった。


「ふっふざけんじゃねぇよ………!」


何故殴ったのかは自分でもわからないようだ。


殴られた瀬田より彼のほうがうろたえている。


「お前なんか、美羽につりあわねぇんだよ!名声や地位だけがたけぇ奴なんて!」


「それはわかっている」


前々からそう思っていた。


彼女と住む世界が違いすぎる。


金と名誉だけを餌にする世界で生きている自分と、純粋できれいな瞳をもった彼女の差は激しすぎる。


何度この強い感情消そうと努力したことか。