「こっこれは………」


「言い訳なんていいよ!夏目なんてもう知らない!」


美羽は怒鳴り声をあげた。大きな瞳が震えている。


「瀬田君!行こ!」


無理やり瀬田を立たせ、美羽は中庭を足早に去った。


瀬田は慌てて転がっていたヘッドフォンを掴み、なすがままといった感じで美羽に連れられて行った。


残された夏目は、何人もの人間を殴りつけてきた罪悪に満ちた拳をじっと見つめていた。


風がやけにうるさかった。