サッカー部員と思われるユニホームを着た角刈りの男子が生唾を飲んだ。
「夏目って昔、すっげぇ暴れてたって話だよな?10人を一人で病院送りにしたとかさ」
美羽は肩をすくめた。
その話を聞いたことはあるが、前の話では4人だったはずだ。
噂とは大げさに拡張していくものなんだな、と呑気に思っていると会話に進展があった。
「だったらよ。瀬田もあぶねぇんじゃね?」
「………え?」
美羽は思わず漏らした。危ないってなにが?
こらえきれず彼女はその二人に近づいて尋ねた。
「なっなんの話をしてるんですか?」
「んっ?うぁ!きっ喜多川!」
角刈りの男子が悲鳴を上げた。


