しかしそんな男はいない。
だったら一番いい男である自分が美羽に相応しい。
「………?どうしたの夏目。目が怖いよ」
ショートケーキに手をつけていた美羽が首をかしげた。
可愛い仕草に吹き出しそうになりながら彼は美羽へ微笑みかけた。
「あ?なんでもねぇよ………」
そこまで言ったとき彼女の頬に白いクリームが付着しているのを見つけた。
それに美羽は気づいていないようだ。
夏目が手を伸ばそうとコーヒーを置いた瞬間
瀬田が動いた。彼は白く折れてしまいそうな指で美羽の頬についていたクリームをかすめ取った。
「え?」
突然頬に触れられた美羽はショートケーキの熟れた苺以上に顔を真っ赤にしうろたえた。


