「………でね!そんときあの先生が半泣きで教室から出て行ったの!」
「………そう」
美羽は楽しそうに瀬田に話しかけ、瀬田は一言返しているだけで会話しているとは言い難いが、美羽は満足なようだ。
優衣はひたすら目の前のプリンを切り崩している。
カルメラと黄色い部位を同時に口内へ入れるのが洒落た食べ方らしい。
美羽と瀬田の会話に首を突っ込まず静かに食べている。
夏目はなんだが複雑な思いで自分の心と同じぐらい苦いコーヒーをすすっていた。
………美羽は何故この男をそんなにも意識しているのだろうか。
まさか恋?と一瞬考えてみたが不吉な考えだったので消し去った。
ファン、というところが一番無難な推理だ。


