サッカー部でエースでありキャプテンでもある彼は、公式戦が近付いているようでこの教室に顔を見せなくなっていた。
サッカーが好きというか
「美羽が前、サッカー観戦に行ったときかっこいいって言ってたからよ」
不純な動機で入部したやつがキャプテンでいいのだろうか。
優衣は不思議でならなかった。
もともと運動神経がある夏目が喧嘩ではなく、サッカーという青春スポーツに力を注ぐようになったのはいいことだと思うが。
「で?どっか行くのか?」
瀬田から視線を外さず美羽に尋ねた。
素直な彼女はうんっと頷き続けた。
「お菓子とお茶でも食べに行こうって」
「………その後ろの無表情人間もか?」
無表情人間、瀬田は一瞬夏目を見た。


