「瀬田くーん!」
優衣は親しい仲間を呼ぶように先を行く瀬田の名を呼んだ。
当然のように振り返らず、歩みを止めない瀬田にめげず、優衣は瀬田の正面へと回りこんだ。
さすがに歩みを止め、無表情で優衣の顔を見る。
「おはよっ!新曲聞いたよ!すっごいいい曲ね!」
「………」
「ねえ!いつもあんなにいい恋の歌詞!どうやって作るの?」
「………」
「あっもしかして企業秘密的な?だったらいいや!」
「………」
「一緒に行こうよ!どうせ一緒の学校なんだし!」
「………」
優衣………。あんた勇者?
なんの返答どころか表情すら変えず、凝視してくる瀬田を気にせず一方的に機関銃のごとく言葉を発射する優衣に、美羽は尊敬の念を覚えた。


