私たち、ときたか。
瀬田ははぁと荒い息をこぼした。
そんな偽善はいくらでも聞いてきた。「一人じゃない」「私がいる!」などという告白まがいの悪意を。
だがしかし、
「君に言われると、落ち着く」
誰かの慰めを清聴してこんなにも心安らかになったのは初めてだ。
美羽の声はスンっと鼓膜を軽やかに揺らし、心地よく脳内に侵入してくる。
熱に攻め入られた脳に、天然の泉のごとく綺麗な声音が響き渡る。
こんなに美しい声に、自分の書いた詩、いわく思いを歌ってもらえたらどれだけ幸せなのだろうか。
「君、歌は歌わないの」
ゆでダコになった美羽を見ず、瀬田は突発的に問いかけた。


