「何が?」 美羽は首をひねった。 彼は天井を見上げたまま荒い息をもらし続けている。 「迷惑掛けて」 「迷惑なんかじゃないよ」 美羽は本心を言ったつもりだが、瀬田はそう思わなかったらしい。この状況でどう思っていようがそうくるのが普通だからだ。 彼女ならなおさらのこと、嫌なことでも無理に頬をひきつり「うん」と笑うのだろうから。 「………別に来なくて大丈夫だった」 あの通り堺もいるし、と小さく付け加えた。 それに 「ひとりにも慣れてる」 美羽の膝で握りしめられていた指がぴくっと跳ねた。