「この子、昔から気難しげなやつでねぇ。いつも1人ぼっちだったわ」 視覚の代わりに聴覚が倍働き、堺の声がよく聞こえる。 「同級生も仕事でよく抜けてたやつのことなんてしらねーって感じでね。いない存在っていうの?まぁ空気君扱いされてたって担任から聞いたわ」 ふぅっと煙を吐く音がする。 禁煙だと言ったはずなのに。 「でも、今は違うのよね」 ふわりと堺の声が優しくなった。 「よくわかんないけど美羽っていう子?がこの子を変えてくれたわけでしょ?感謝するわ」 「堺さん………」