「なんでなんで?あの無愛想がどうやって人気者になったわけ?」
「それは………」
優衣はピアノ事件、と勝手に名付けられていた事件を語った。
美羽の涙を思い出した瀬田は、それだけで胸が苦しくなった。
あのときはほぼ何の考えもなく動いた。
あの日笠の音楽に対する態度も気に食わなかったし、何よりも美羽にあんな顔をさせたことにいらだったのだ。
自分が嫌われていたのはしっていたが、ここまでふつふつと煮えたぎったことはない。
後々自分でもなんでなのだろう、と首をかしげていたがまだその答えは見つからないまま。
「あー。奏を惚れさすとはあの子もやるわねー」
あっさり堺が代わりにこたえてくれた。


