ことこと、と瀬田がめったに入ることのない台所から音がする。 昔この音、よく聞いた――――と懐かしんだ。 誰もいずはずのない部屋からそんな音が聞こえてくるわけもないので、空耳だろう。 そう決め込んで、布団の奥へと潜り込んだ。 「………がうって!塩多すぎ!」 「汗かいてたら………とったほうがいいって!」 ああ、会話まで聞こえてる―――? ここで瀬田はおかしなことに気付いた。 ………この音は、リアルの音か………? 思考回路が働いたとき、瀬田は布団からはね起きていた。