「………」
1人、殺風景な部屋の端っこで毛布にくるまっている時間は何とも退屈だ。
瀬田は日に焼けていない美白を、真っ赤にして天井を見上げていた。
イヤホンはさすがに外しているが、すぐ手の届く場所へと置かれていた。
静まり返って部屋で、自分の荒い息だけがこだまする。
「………」
1人暮らしはこれだから、と彼は軽く後悔した。
スタッフが防音室のマンションを借りてくれたので、瀬田だけそっちに移ったのだ。
頑固な父親は、作詞家などどいう不安定な基盤の上で成り立っている仕事に賛成はしてくれていなかったので、ついてくるはずがなかった。
母が来なかったのは意外だった。