瀬田と別れ、家についた美羽を、専業主婦の母は温かく迎えてくれた。 『お帰り。今日もおつかれ………ってなんかあったの?」 母はあっけにとられた。 『なっなんでもないよ!』 顔を鞄で隠しながら、靴を脱ぎ散らかし自室へと駆け込んでいく娘を、母は驚愕の表情で見送った。 後で鏡で確認してみると、疑いたくなるようなほどニヤけた自分がいた。 頬を引っ張り、顔の形を直すのにずいぶん時間がかかったのを覚えている。