「おっはよ~美羽!
………ん?どうしたの?なんか目が死んでるけど」


「あっうん………寝不足」


通学路で親友と出会った優衣の表情は不思議に包まれていた。


美羽の眼がとろんとしているのだ。


「ちゃんと寝なきゃだめだよ~あっもしかして瀬田君の曲聴いて寝れなくなったとか~?」


からかってみたつもりなのだが、美羽は黙ったまま肩を痙攣させた。


あれ?と優衣がいぶかしげにうつむいている美羽を見つめると


「………曲っていうか………その………」


昨日とは明らかに様子が違う美羽の肩をたたき


「まっまぁ行こ!学校!」


話題を変えて明るくふるまった。


その話題に触れないほうがいいのだ、と気づいたからだ。


優衣は黙ったままでいる美羽の腕を引き、遅い母親を引っ張るように学校へと連れて行った。