『ねえ瀬田君………』


震える声で突然問いかけてきた美羽を瀬田は振り返る。


熱にうなされている小さい子のように頬を赤くし、もじもじしている姿を見ると、こみあげてくるものがあったが、瀬田はそれを知らない。


『なに』


『そっその………』


言いにくいことなのだろうか。何度も口を開いては閉じを繰り返している。


『何でも言って』


瀬田は正直な気持ちで言った。


その言葉に背を押され、美羽はとうとう言った。


『ケータイ………持ってる?』