それからの勉強タイムははかどらなかった。


そりゃしかたがない。


瀬田奏のスマイルが見えたのだから。微笑、といってもいいほど少し口角を釣り上げた笑みだったが、スマイルといっても間違いではない。


「もう止めよ?」


「………」


美羽は痛む頭を揉み、瀬田に問いかけた。


瀬田も無言でうなずき、帰り支度を始めた。


その時、あの疑問の答えがふと浮かんだ。



『雲の上にいる彼に手をさしのばされる時はいつだって』