「………どうした?」 「今………瀬田君笑った?」 「………笑ってない」 彼はふいっと顔をそむけた。狭い図書室で交わらない2つの視線。 瀬田の耳まで赤い気がする。ふっと美羽は突然心の中がほんわり暖かくなった。 「ねえさっき………」 「………∠A<∠Bのとき, a=bと仮定すると(2)により∠A=∠B これは∠A<∠Bと矛盾する. a>bと仮定」 「待って!」 照れ隠しの早口解説を始めた瀬田を、慌てて美羽は引き留めた。