しばらく茫然と大樹を眺めていたが、我に戻り 「………あっ優衣待たせてるから行かなきゃ………」 あの大きなひとみに生気を吸い込まれたように疲れた足取りで窓から離れた。 ずるずると足を引きずり、階段を1段づつ降りる。 さっきすれ違ったはずの教師が二度見してきたが、そんなこと気にならない。 閉め忘れた窓から風が入り込み、一人むなしく揺れていた。